プロフィール

Nukeme(ぬけめ)
1986年岡山県生まれ。2008年 エスモード大阪校を卒業。ファッションや広告業と平行して、テクノロジーを活用した作品制作等、多岐に渡る活動を行う。 近年の主な活動に、文化庁メディア芸術祭(2012)、YouFab Global Creative Awards 2014ファイナリスト選出(2014)、『Glitch Embroidery』(LEE SAYA、2021)

インタビュアー

冬木 遼太郎 Ryotaro Fuyuki _ アーティストhttps://ryotarofuyuki.tumblr.com/

山本 正大 Masahiro Yamamoto _ アートディレクター




冬木(以下F)Birdsのこのインタビューシリーズは、「ロッキンオン・スタイル※1」っていうふうに冗談半分で言ってまして。~万字インタビューみたいな。

ヌケメ(以下N)万単位で押してきますよね、10万とか。あれはロッキン・オンからなのか。

F ロッキン・オンとか「音楽と人※2」とか、ああいう音楽系の雑誌って、「~万字インタビュー」みたいなのをトピックの真ん中に置いてるイメージがあって。別にあれを目指そうという訳ではないんですけど、消費されにくい物量ではありたいと思っていて。これは噂で聞いた話なんですけど、美手帖のレビューって3000字以内とか、確か字数が決まってるらしくて。で、アーティストの大岩雄典※3さんが、編集の人にそれを言われたからレビューを書くときに、毎回3000字ピッタリで終わるように書いてたらしいです。

N いいなあ(笑)。ライティングの仕事依頼って文字数制限があるから、一文字/何円みたいに単価が計算できるじゃないですか。で、宇川直宏※4さんが『ヤバい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』みたいに「!」マークを何十個もつけてる原稿、あの「!」に原稿料を払うのか?みたいなことを昔言われたことがあるって言っていて。でもライティングって文体とか空気感も込みだから、それも内容だよねっていう。

F そういう文体の雰囲気や文字数としての物量も、全て内容に関係してきますよね。このインタビューに関しては、やりながら今のところは結局この字数の多いやり方がいいかなって。そのくらいまで掘って掘って、その人が見えてくるくらいはちゃんとしたいなと思っています。

N 何万字、ってウェブで読む分量じゃないんですもんね。紙だと読めるんですけど。



1.

山本(以下Y)お二人が出会ったタイミングは?

N この前のSCG※5ですよね?京都の。

F でも、僕は以前からヌケメさんの存在は知ってはいました。

Y それはアーティストとして?

F あのキャップの作品、ヌケメ帽で。それでなんとなくは知っていて。で、今回SCGで選ばれた5人の名前を見て、「ああ、ヌケメさんもいるんだ」って。それで顔合わせの時に初めてお会いして、っていうかたちです。

N 僕は逆にSCGで一緒になった他の4人は全然知らない方で。どんな人なんだろ?って感じで参加したんですけど、蓋開けてみたら共通の友達が多かったなっていう。

Y パッと聞いた時に僕はヌケメさんを知らなかったんで、「アーティスト?で、ヌケメ帽?」っていうハテナが最初にあって。でも、冬木くんがめっちゃ面白いって言ってたから。

N そうですね。僕はもともとファッション畑の人間なんで、最初はアーティストって名乗ってなかったんですよ。ファッションデザイナーって言ってたんですね。で、ヌケメ帽は2008年から作ってるやつなんで、一番古い作品です。あれはアート作品っていうよりは、ファッションアイテムとして作ってましたね。ファッションアイテムっていう言い方が正しいのかわからないんですけど、洋服やファッションデザインの文脈のなかで考えて作ったものでした。洋服って半年ごとに必ずセールにかかって売り切って、また新しいものをつくってって繰り返すじゃないですか。そういうシーズン制のあまりないもの、エバーグリーンで、ずっといつ作ったかわからないものっていうか、なんとなくどの時代でもハマるような強度のものをつくりたいと思って作ったものだったんで。いわゆるアパレルみたいなつもりでもなく、プロダクトっぽい感じで作ってました。あと、ヌケメ帽は結構、写真面でつくった作品なんですよね。写真に撮った時に映えるようにっていう。

F 一枚絵のビジュアルの強さというか?

N そうです。今でいうインスタ映えみたいな話ですけど、スタイリングの中に一点だけポンと混ぜても明らか目立つというか。で、一番に人の視線が集まるのが顔なんで、バストアップで画像を切られた時にもちゃんと入るっていう。結構デザイン的な発想ですね、ヌケメ帽に関しては。

〈ヌケメ帽2 (ツー)〉, Poem: 辺口芳典, Styling / Direction: 庄司洋介, Photo: オノツトム, Hair / Make: 山口恵理子, Model: 南琴奈

F 最初は本当にファッション系の学校とかで?

N そうです。エスモード※6っていう洋服の専門学校を卒業してます。東京にもあるんですけど、僕は大阪校を卒業してます。もう大阪校はなくなっちゃったんですけど。

F ちなみにご出身は?

N 岡山です。18歳までが岡山で、19~21が大阪、その後はずっと東京です。

Y 就職で東京に来たんですか?

N 就職はしてないんですけど、ファッション関係の仕事をするんだったら、東京でしょって思って。職探しも込みで東京に出ました。

F 最初はどうされてたんですか?

N アルバイトとかしてましたよ。というか、結構最近までバイトしてました。あと、会社員も一回やってるんで。セミトランスペアレントデザイン(以下、セミトラ)※7っていう、ウェブに強いデザイン事務所です。

F じゃあプログラム系の。

N プログラマーチームでしたけど、全然会社の仕事はしてなかったです。

F え(笑)?

N これ言っていいのかわからないんですけど、本当にお金がなくて、実家に帰るかどうしようか悩んでる時期があったんです。そのときにツイッターで『就職したい』って愚痴を言ってたら、セミトラの社長の田中さん※8が、『なにか困ったことがあったらいつでも言ってね』って言ってくれたんです。『実は就職したいんですけど』って相談したら、『じゃあご飯食べに行こうか』っていう話になって。それで入れてもらったんですよ。で、ヌケメとして活動してきたことがヌケメ君にとってすごく大事だと思うし、それがあるから僕もこういう話をしている訳だし、ヌケメとしての活動は続けた方がいいと。だから、会社のこともしてもらうけど、ヌケメとしての活動も優先していいよ、っていう条件で。

F じゃあ田中さんもヌケメとしての活動は知っていて。

N そうですね。田中さん自身はデザイナーなんですけど、作品を作って発表とかもされていて、一度グループ展で一緒になったんですよ。「世界制作のプロトタイプ展」※9っていうグループ展が日暮里のhigure※10っていうスペースで開催されたんですけど、その時に田中さんも僕も出展していたりとか、界隈が近かったんです。僕もインターネットが好きなんで、ネットアートっぽい文脈というか、メディアアートとかの界隈にいたので、活動してるフィールドが結構近くて。

F ヌケメさんの経歴は図にしないと難しいですね(笑)。

N 確かセミトラに就職したのは2015年だったと思います。

F 卒業は何年ですか?

N エスモードは2008年の3月卒業で、4月に東京ですね。(ヌケメさん、パソコンで自身の経歴を調べる。)2016年ですね、セミトラのメンバーになったのが。で、退職したのが2021年の1月だから、4年ぐらい居ましたね。なんだかんだ、自分の仕事ばかりしていて、あんまり会社には行けてなかったんですが…。

2.

F 話を戻すと、ヌケメ帽が一番古い作品ってことは、まだ学生の時ですか?

N そうですね、原型は学生の時に作ってたと思います。卒業制作で辺口さん※11と一緒に作品を作って、その時につけてもらったブランド名が「ヌケメ」なんですよ。いつの間にかブランド名というよりは個人名になっていきましたけど。

F 意味とかってあるんですか?

N 意味は別にないみたいです。実は、他にも20個ぐらい候補があって。

Y 多いですね(笑)。

N もう辺口さんもそのメモは持ってないと思いますけど、いっぱいある候補の中で僕が「じゃあヌケメで」って選んだんです。他の候補はもう覚えてないですね。気になりますね、今となっては。

F 20って結構多いですね、5個ぐらいかと思ったら。

N 辺口さん名前をつけるのが結構好きな人で、僕用って訳でもなく溜めてたのかもしれないですね。最初はカタカナじゃなくて漢字でした。“抜ける”に“目”で 「抜け目」。今は日本語表記はカタカナで、英語表記は頭だけ大文字に統一してますけど、一瞬「ヌケ目」のときもありました。

F なんかわかる気はしますね。ラッパーとかちょっと変えたりするじゃないですか、SLACK※12が5LACKにしたりとか。

N 表記を揺らすパターンってありますよね。山塚アイ※13さんとか。山塚さんめっちゃ名前変えるじゃないですか。ヤマトゥーカ・アイとか、ヤマンタカEYEとか。

F ヤマストゥーカーとか(笑)。

N そうそう、あれです。誰やねんっていう。で、結局 ∈Y∋にしてる(笑)。だから、揺れててもいいんじゃないかと。英語表記も最初は全部大文字だったりしました。あと、ヌケメって人間の名前っぽくないじゃないですか。で、頭文字を大きくすると人間の名前っぽいけど、全部小文字(nukeme)にするとbotっぽい印象になるし。それも可愛いかなと思ってたんですけど、結局名前に寄せました。

F ヌケメさん本人に会ってるからかもしれないですけど、口にしてると頭の中ではカタカナで再生されてる感覚からか、ヌケメさん自身に合ってるしすごくキャッチーな感じはしますよ。

N 一回悩んだのは、海外の仕事が増えたときに、「ヌケメ」っていうのが英語圏の人は発音しにくいらしいんです。その時は本名にするかも含めて悩みました。

F 海外の仕事が増えた時期が。

N 2013~14年ですね。

F それはきっかけがあるんですか?

N 2011年にグリッチ刺繍を発表するんですけど、それが2012年にメディア芸術祭※14で推薦作品に選ばれるんですよ。で、メディア芸術祭の巡回展でアルスエレクトロニカ※15に行ったのが2012年で、海外の仕事が増えたのはその頃からですね。2012年になると、インターネットヤミ市※16のベルリン回があったりして、そこにも参加してました。

https://yami-ichi.download/#ja

Y そのインターネットヤミ市とかも、さっきのセミトラの田中さん界隈ですか?

N 田中さんはインターネットヤミ市に出てたかな?来られてはいたと思うんですけど。あのイベントは、作品展示というよりはどっちかと言うと、「インターネットっぽいもの」をリアルな場所で売るフリマというかコミケに近いノリでした。

Y 結構、海外でも開催したんですよね?

N そうです。僕も途中からメンバーになるんですが、IDPW※17っていう団体が主催していて。確か2、3回目までは完全にアイパスが取り仕切ってたんですけど、海外でやりたいっていうオファーがあった時に、完全にハンドリングするのは無理だから、「インターネットヤミ市っていうのはこういうコンセプトなんでこういう風に運営して下さい」っていうレギュレーションを作って。で、それさえ守ってもらえれば誰でもいつでも開催できるようにしたんですよ。で、何都市ぐらいやったのかな?ちょっとまた調べますけど、30都市以上でやっていたと思います。継続して今もやっていて、もう10年はやってますね。

3.

N で、2013年にグリッチニットっていう、グリッチ刺繍のニット版の作品を作り始めるんです。それも結構海外で評価されて、ワークショップとか展示で呼んでもらえるようになったんです。なので、2014年ぐらいはアジアの仕事をよくやってましたね。台湾、香港、タイとか。

Y 呼ばれる先はアート関係からですか?

N 日本にもありますけど、Fabcafe※18っていう、3Dプリンターとかレーザーカッターとかを置いてるカフェからの依頼でした。Fabcafe Shibuyaにいた川井さんっていうディレクターを仲介役にして、いろんな国のFabcafeに呼ばれるみたいな。

Y 主体はそこがやってるんですね。

N そうですね。

F 話だけ伺ってたら、全然自分の活動で食べていけてそうな感じはしますけどね。

N そうですよね、自分でもなんであんなに食えてなかったのか不思議なんですが…。で、2015年頃から鬱と不眠症を発症します。

F それは忙しくて、手一杯だったみたいなことからですか?

N 忙しいし、お金もないし。

Y 活動はしないとダメだけど、単純な収入がそれである訳ではなかった?

N お金は全然なかったですね、その時期にセミトラに就職してますから。こんなに忙しくてもお金がないなら、もう無理かな、って感じてたのがその時期ですね。

F 服って結構、(金銭的な)戻りが少ないんですか?

N いや、いわゆるアパレル業は食えると思いますよ。

Y じゃあ、それだけ作って出して、ということをやっているアパレル業界は食べれるけれど、別にそういうやり方ではないっていう。

N 半年に一回展示をやって、受注を取ってっていうプロパーなやり方だったら食えてたんですかね……。そんな簡単なことでもないでしょうけど。でも、そもそも自分はそういうやり方ではなかったし、無限に開発とか調整に時間がかかる作業をしていたんで、薄利多売の状態がずっと続いてましたね。

Y 機材を入れないといけないっていうことも含めてなんですか?

N グリッチニットなんかに関してはそうですね。なんかこう、作品や活動にワッと注目はしてもらったけど、それと比例してバッて売れるって感じでもなかったんですよ。展覧会にも呼んでもらえるし、新作を発表したらニュースになったりもするけど、別にそれで食えてないというか。めっちゃ作品が売れたなっていうのは、それこそ去年のワクチンのパーカーが売れました。これは本当にたくさん売れて、10年目にしてようやく食えそうなレベルの売れ方をしましたね。

〈Vaccine Trilogy〉撮影:竹久直樹

F 素晴らしい。

Y 売られている場所は、ネットだったりですか?

N 主にネットですね。

F 売れたポイントみたいなことはあったりするんですか?

N わかんないです(笑)。ワクチンっていうモチーフがたまたま当たった、っていうだけのことなんじゃないかなと思ってます。海外の人も反応してくれているんですけど、今はコロナですごく海外発送がしづらい状態なんで、海外宛てにはまだ売ってないです。でも、以前は展示とかやってもこんなに売れなかったですね。このあいだのLEESAYA※19での個展が初めてがっつり売れたなっていう印象です。あと、2015年にGraphers Rock※20さんと一緒にやった、シュプリームとギャルソンのプレイをモチーフにした展示※19があったんですけど、それはほぼ完売でしたね。

Y けど、定番でずっと売れているとかではないから、スポットごとにという感じだったんですね。

N そうですね。だから、いま話した期間はずっと何かしらバイトしてましたよ、海外行ったりしてる時も。

F アパレルブランドでですか?

N beautiful peaple※21っていうブランドが一番長かったんですけど。4、5年やってたんじゃないかな?

F なんか全然イメージが(笑)。

N そうですよね(笑)。beautiful peapleってなんというか、キレイなブランドですもんね。

F そうですね、コンサバティブというか。OLさんがロゴの入ったバックとか持ってるイメージの…。

N わかります(笑)、よく見ますよね。でも一番長かったし、一番居心地も良かったですね。本当にいい会社でした。展示会やファッションショーの直前っていう時でも、いくら遅くても9時半とか10時には帰ってました。

Y めっちゃホワイトですね。

N ホワイトなんですよ。デザイナーズブランドでそんなのないと思います。徹夜つづきが当たり前だと思うんですけど。で、会社の雰囲気もいいんですよ。売れてないところはケンカが増えるってよく聞く話ですけど、調子が良かったんでしょうね。

F 街であのバックめっちゃ見ますもんね。

N 表参道に直営店をオープンする頃まではバイトしてたと思います。今も展示会とかは見に行きますし、一度グリッチ刺繍でコラボもさせてもらいました。

4.

F 僕がすごくいいなと思ったのが、ヌケメ帽を売る場所、販売店っていうのが、たしかヴィレッジバンガード※22(以下、ビレバン)で売ることになったんですよね?

N そうです。全国のビレバンに一気に卸した時があったんです。

F 本当はしまむら※23ぐらいで売りたいんでしたっけ?

N いや、ジャスコ※24です。

F (笑)。それを聞いたとき、わかるぞ!って思って。ビームスとかにいかずに、ジャスコっていうのが。

N なんか関西人っぽい発想ですよね、その逆張りの感じっていうか(笑)。こんなこと言ったら怒られますけど、ビームスって一番特徴ないじゃないですか。本当はドーバー※25とジャスコで同時に売ってるみたいな状態がベストですけど、さすがにあり得ないし。

F その意図みたいなのは?

N 僕の出身の岡山県ってど田舎でもないけど、かといって都会でもないんで、地元の中高生がちょっとマイナーな文化に触れられる場所っていうのがビレバンくらいだったんです。漫画版のナウシカ※26とか、岡崎京子※27の漫画があったりとか。いわゆる”TSUTAYAに置いてない”ような音楽に出会ったり。今はインターネットがあるんで、当時僕が感じていた状況とは違いますけど、田舎の中高生が偶然出会える場所にちゃんと作品を置いときたいっていうのがあって。やっぱりビレバンとか、イオンとかジャスコとか、そういうとこに置いとけば、出会ってもらえるかもしれないじゃないですか。

F なんというか、作品の形式と最終的な流通の仕方や受け取り方って、無関係ではないじゃないですか。だからそれがすごくよくわかるし、ヌケメさんの意図が見えている話のひとつだと思ったんです。

N そうですね。ヌケメ帽に関しては、体験をすごく大事にしています。さっき言った、何も知らない中高生がビレバンで出会うっていうのも流通を介した体験ですけど、たまたま電車であの帽子を被ってるのを見かけただけでも「何あれ?」ってなるじゃないですか。で、調べたらネットで出てきて、買えるっていう。その体験もかなり面白いと思ってて。

Y 特殊な言葉だから、ヌケメ帽じゃなくて刺繍されてる言葉で検索しても出てきますもんね。

N 洋服が他のメディアと違うところって、着た人がそのへんを歩いてるってことだと思うんですよ。写真を持って歩いたり、絵を持って歩いたりとかしないですけど、服はみんな着るし、着てると目に入るじゃないですか。そこで、違和感でフックを引っ掛けられるようなものを作ろうっていう発想でデザインしていて。

F 一発目がヌケメ帽で。

N そうですね、スマッシュヒットでした。でも、一発目から二発目のグリッチ刺繍までは3年空きました。

F そのあいだは?

N そのあいだがないんです。色々やってはいたんですけど、何もないんですよ。トライはもちろんしていたんですけど。

Y それは世の中に出してないっていう意味でですか?

N 作ってはいましたけど、ヌケメ帽みたいなかたちでヒットしなかったっていう意味です。でも、同じ頃にCULTIVATE(カルチベート)※28っていうギャラリーを友達と運営してたんです。2009年~13年だったと思うんですけど、その運営を頑張ったりしてましたね。馬喰町っていう駅にありました。

Y 2人とかでやっていたんですか?

N 4人です。一人は大阪にいる永江 大※29くんっていう編集者で。で、あともう二人、坂脇慶※30君と近藤さくら※31ちゃんっていう四人で。

Y 運営として作家を呼んできて、展示をやってっていうのをずっとですか?

N そうです。自分の展示もやりましたけど、それ以上に自分たちが好きな作家の展覧会を企画したいっていうモチベーションでやってました。もうグッズグズでしたけど(笑)。せっかく場所を借りてるのに、やってない期間が半年ぐらい続いたりとか。もっとちゃんとやればよかったです。

Y 企画して場所を回すこと自体もなかなか大変ですもんね。

N そうですね。利益を上げるってことを全く考えてなかったし、作家さんも僕らも手弁当でやってるような状態で。それでもやってくれるっていう人にお願いしてましたけど、今となっては結構贅沢な展覧会とかもやったりしていました。僕と慶君が写真好きだったんで、2019年に木村伊兵衛賞をとった横田大輔さん※32に展示してもらったりとか、写真の展示も結構やっていました。

5.

F 一応最初の職業としては、ファッションデザイナーでいこうと?

N そうですね。

F でももう、ヌケメ帽、グリッチときたら、あの人だいぶ違うよなっていう状態ですよね?

N そうですね、だからグリッチ刺繍からアーティストって名乗るようにしました。

F グリッチって定義はあるんですか?ノイズとはまた違いますよね?

N デジタルデータそのものか、デジタル機器の破損によって生じるもの、ですね。

F じゃあ現実のリアルなフィールドでも、一応グリッチっていう…。

N そうですね。例えば壊れたデジカメで撮った写真とかも、グリッチですね。

F 例えば、表示の液晶自体が割れてるとかも?

N そうですね、含まれると思います。i phoneが割れてバキッと線が入ってるとか、かなりの人が体験してると思うんですけど、あれも体験としてはグリッチですね。 

F 刺繍のモチーフとしては、最初は何を使ってやったんですか?

N グーグルロゴが一番最初のモチーフでしたね、わかりやすいですし。あとはキティちゃんとかも選んでました。要するに、グリッチさせると図像としてグチャグチャになるじゃないですか。で、グリッチした状態を見ても、される前の正しい状態が脳内で再生されるような、みんなが知ってるモチーフがいいなと思ったんです。キティちゃんとか、グーグルのロゴとか、誰もが知ってる何か。且つ、どの国の人が見てもわかるような、文化障壁が少ないものですね。

Y 誰が見てもわかるような。

N そうです。グローバル企業のロゴなんかは正にそれですね。どの国からアクセスしてもグーグルはグーグルっていう。怒られるのが怖いんで、ディズニーだけは避けてましたけど(笑)。当然、ミッキーマウスも条件としては当てはまるんで。

F 使用してることに対して指摘されたりとかは?

N まだないですね。今のところ一度もないです。

F それは、ちゃんと怒られないラインとかを調べた上で?

N そうですね、弁護士さんに相談したりもしてます。実際やる前に、「これってどのくらい(法的に)危ないんですか?」っていう相談をしたんですけど、まあキャラクターものはダメだと。どこまでいってもダメ、向こうに訴えられたらほぼ勝てないと。逆に商標ロゴを使った作品に関しては、法的には白寄りのグレーだという認識でいます。どうしてかっていうと商標ロゴって、基本的に著作権については放棄しているとみなされるらしいんです。で、著作権を放棄している代わりに、商標権で保護されている。商標権っていうのは、「この会社の商品である」っていうことを示す目的で、ロゴを使用する際に発生する権利です。例えば、シャネルの商品だと明示するために「CHANEL」って入ってたりとか、ソニーとかパナソニックが作ったものだよっていうために、そのロゴが刻印されている場合です。だけど、誰が見ても明らかにその会社が作ってなさそうな場合、誰が見てもそれを騙ろうとしていない場合は、商標権の侵害には当たらないっていう解釈になるらしくて。

F なるほど。

N もう少し詳しく言うと、例えばビックカメラの袋っていろんな家電メーカーのロゴが入ってますよね。あれをどこかひとつの会社が作ったものだとは、誰も思わないじゃないですか。あの状態だと、もとの商標権を侵害してると言えないっていう解釈があるみたいです。なので、グリッチ刺繍の作品も、ワクチンだったら3社のロゴが入っていますけど、これを見てどこかが作ったとは思わないですよね。コラボレーションのしようがないし、加えてヌケメっていうサインも付けているので。
(※上記の内容は個人の見解に基づく解釈です。個別の案件については、弁護士等専門家の方に相談することをお勧め致します。)

F じゃあ例えば、ファッションブランドだとちょっとヤバいってことですか?

N ヤバさはちょっと上がるんじゃないですかね。それも全然作ってますけど。

F さっきのシュプリームとか?

N シュプリームは別の理屈です。シュプリームはシュプリームのロゴしか入れてないですけど、あれはシュプリームの正規店から買った本物の商品の刺繍部分を外して、上からグリッチした刺繍を叩きつけてるんですよ。

〈Dear Supreme Dear Play〉作者:GraphersRock, Nukeme, 撮影:三宅英正, モデル:イシヅカユウ

Y じゃあリメイクですね(笑)。

F お金かかりますね。

N 金はかかりますね。もともとの仕入れ値が販売価格に関係してくるんで、めっちゃ高い値段で売らざるを得なかったんですけど。でも、正当な対価も払ってるし、リメイクは法に触れないじゃないですか。パチモノを作るみたいな行為とは全く違う。
(※上記の内容は個人の見解に基づく解釈です。リメイクでも法に触れる場合があります。リメイクに関する判例:https://news.yahoo.co.jp/articles/7f254c6441aad6e07747f4fbb7ab34ef9c4906d6

Y やり方としては、抜け道的な方法になるんですかね?

N まあそうですね。ストレートにサンプリングすると怒られて終わりなんで、サンプリングしたかったら抜け道を見つけておく必要はあります。だから、はやくKAWS※33みたいになりたいんですけどね。スヌーピーだろうがスポンジボブだろうが、KAWSが使ったって誰も怒らないじゃないですか。

Y どう考えてもミッキーマウスのシルエットなのに。

N だからKAWSが昔どうしてたのかっていうのはすごい気になるんですけど。絶対最初はダマでやってましたよね。で、どこかのタイミングから、逆に使って欲しいみたいな存在になっていったでしょ。バンクシーの落書きじゃないですけど。

Y KAWSっていうブランドの方が大きくなっていったんですよね。

N 作品の中でキャラクターをいじる人は結構いるじゃないですか。でも、この縦横無尽に商標ロゴをいじっていくっていうアプローチは意外と珍しいと思います。まだ、パンと頭ひとつ抜き出た人がそんなにいない世界だと思ってます。

F 同人誌とか二次創作みたいなキャラをいじる方はいっぱいあるけども。

N ネタみたいなのはいっぱいあるんですよ。

F あー、ツイッターで流れてくるような。

N そうそう。それで食ってるみたいな人はあまりいない気はします。

F なんか凄いですね。ここまで話しても、ヌケメさんの活動の全貌をまだ掴めない感じがあります。

N バンドをやったりとかもしてますからね。

F 以前に仰っていたX JAPANのやつじゃなくてですか?※34

N じゃないんですよ。『ヌケメバンド』っていうのをやってて。2012年から2018年くらいまでやってましたね。今は実質解散してるんですけど。アートフェア東京のオープニングで、山川冬樹さん※35と共演したりしてました。

Y それはどこから声がかかるんですか?

N その時は、タリオンギャラリー※36がパーティーの企画をやる順番だったらしくて、タリオンから声がかかりました。

Y そのバンドのかたちは、普通のバンドって言ったらおかしいですけど、メロディーがあって歌うみたいな?

N 歌もメロディーもリズムもないです。ドローン※37っていうジャンルなんですけど、アンビエントとノイズが混ざったみたいな感じの音楽性でしたね。ふざけた話なんですけど、5人中3人は楽器が演奏できないメンバーだったんで、楽器が演奏できないメンバーでも出来るジャンルとして、ドローンが採用された感じです。基本的にインプロなんで、「せーの」でダンって音出すだけなんです。相手の音を聞きながらなんとなくで自分も合わていくっていう。で、30分だったら30分それを続けるだけです。でも、結構色んなところに呼ばれましたよ。Gray Fieldっていうレーベルにも所属して、リリースも2回しましたし。ファーストはカセットで出したんで、100個限定とかでしたけど、セカンドは一応CDで全国流通してタワレコにも置かれてました。

「N3331 クリエイティブナイト vol.1」ゲスト:Nukeme、ヌケメバンド

F ちょっと話飛んじゃうんですけど、髪型ってずっとそのスタイルなんですか?

N 10年以上この髪型ですね。元ネタもありますよ。いわゆるGIカット※38が元なんですけど、軍人がよくやる髪の切り方で、帽子の中に長い部分が全部スポッとおさまって、帽子から出てる部分は丸坊主状態です。で、それと鳥肌実※39の髪型を足しました。

F & Y:(爆笑)

F 懐かしいですね。

N ラフ・シモンズ※40と鳥肌実です(笑)。

Y それこそビレバンやもんなあ。

N 僕もビレバンで知りましたよ。(PCで鳥肌実の商品ページを見ながら)服も売ってるんですね、いらないなあ…(笑)。この感じ、ヌケメ帽的でもあるなあ。

F それ自分で言うんですね(笑)。でも確かになんか、イヤな感じがあると言うか。

N イヤな感じしますよね。なんでしょうね。

6.

F なんというか、これまで伺ってきた色々な作品や活動に通底するものを聞くのは、野暮ですか?

N いえ、野暮じゃないです。というか、結局このインタビューが何なんだっていうのは、そこが必要なんだと思うんですけど…。でも、わからないんですよね、何かあるんでしょうけど。

F なんというか、そのメディアを別の使い方で用いている、って感じはするんですよね。例えば、服っていうものの中に、着る人が好きな特定のジャンルがあったりとか、ある種の自己表現であったりとか、いろんな選択の理由があると思うんですけど、ヌケメさんのアプローチは、人が服を着ていて、他の人がそれを見るっていう状況自体が、ちょっと違うかたちでの情報との出会い方として捉えられている。作品の中に組み込まれた辺口さんの独特なワンセンテンスの言葉って、すごく体臭のする言葉というか、固有でローカルな個人のワードだから、急にそういうものと出会わされてる状況があるというか。単純に普通に売られている服のロゴやデザインで用いられてる言葉って、もうちょっと漂白されてると思うんですよ、流行りやジャンルっていう一般性の中にある。でも、ヌケメ帽はそういうものとは全然違う階層の情報が、急に一緒くたに現れている。で、それがビレバンで売られているという状況設定、出会い方まで違う出会い方でプロデュースされている。例えば、普通はおしゃれな服が欲しかったらこのあたりに買いに行くとか、安くて無難に済ませたいんだったらZARAとか、原宿っぽいものは原宿にあるとか、それなりにアイテムと場所も共通しているんですけど、ヌケメさんの場合はそういった状況も含めた色んな階層からブレさせようとしている気もします。結果的にブレているというか、そういう一般的なものと全然違う異質なところがあるなと思っていて。

N インタビューで『通底する考え方みたいなものはあるんですか?』って聞かれた時に、よく答えているのは『違和感が残るようにはしている』って言ってるんですけど。例えば、デビッド・リンチの映画みたいな、見終わった後に「何なんこれ?」っていう、そういう謎とか違和感が、3日とか1週間とかモヤモヤ残る質感にしたいなとは思っています。だから例えば、グーグルのプリントだったらまだあるけど、刺繍ってちょっと見たことないなとか、日本語の帽子でもやっぱ辺口さんの言葉みたいな質感の日本語デザインの洋服って見たことないみたいな、とか。「何なん?」っていう感覚は残るようにはしたいですね。この前、SCGで展示していた銀の犬あるじゃないですか。あれも唐突だし、その「何なん?」っていう感覚ですよね。

〈Awful Images〉2018

F あれは、オブジェクトみたいなものを作ってみようという出発ではなく、いきなり銀の犬だったんですか?

N いきなり銀の犬です。

F 一回やってみようみたいな。

N そうです。2018年に写真家のHIROMIXさん※41と僕の2人展を自分で企画したんですよ。その時にHIROMIXさんが、写真は出さずに絵を出すっていう話だったんで、じゃあ僕は立体を出そうかなみたいな(笑)。お互いに期待されてるメディウムでないものをやってみようかなってタイミングで作った作品なんです。

Y ファッションやバンドのようなジャンルには定番っていう王道ルールはあるけど、他の方法なんて実はいっぱいあって、ヌケメさん自身がやりたいイメージはそういう王道や定番とは別にあるように思いました。

N このジャンルだったらこうやってみようかな、っていうのを毎回試している感覚ですね。立体だったらこれ、洋服だったらこれ、音楽だったらこんな感じ。で、まだ絵は描いてないんで、絵はどうしようかっていうのが直近の課題としてあるんですけど、絵もそのうちに発表すると思います。今のところ、i Padで描いた絵画をシルクスクリーンで出したものかなあと思ってます。

F やっぱり、なんかこういう包括をするのは野暮って感じがしてしまいますね…。

N まあねえ…ひとつひとつの作品について語る分には、まだ割とこう納得がいく説明ができると思うんですけど、全部出していくと、ほんとに「何なん?」ってなってしまうんですよね。文章とかも書いてたりしますし。変な仕事だと、最近はグラドルの写真集を作ったりとか。

F 写真を撮って?

N いや、企画を担当するだけなんですけど。SELFIE BOOKSっていう、自撮りだけの写真集を作るレーベルがあって、その中の一冊を僕が担当したんです。このタレントさんでどうですか?っていう企画を立てて、編集長の許可をもらって、タレントさんに僕がオファーして。このあいだ出たんですけど。その納品までのやりとりを担当しました。

Y そういう仕事も単発でくるっていうことですよね?

N そうですね。で、来たらあまり断らないですね。でも、やっぱりいい編集者ってムチャぶりが上手な人だと思いますよ。「ヌケメくん、こういうのできるんじゃない?」って言ってくれたその人の能力が高いだけというか。

Y 例えば冬木くんっていう人をよく知っているからお願いをするっていう。

N そうですね。「この人にこれをオファーしたらどうなるんだろう?」っていう。で、そのどうなるんだろう?の面白度が高い人がいい編集者だと思います。発想も大事だし、知識もいるし、細かなハンドリングもできないといけないし。そういう意味では、編集っていう仕事をめちゃくちゃ尊敬してます。

Y 土台ができてないと、実際に呼んだところでうまく成立できるかもわからないですからね。

N どうなるかわからないのに、仕上がりが見えてないと完成させられないっていう矛盾した難しさがある気がしますね。だからさっきのヌケメバンドも、「バンドやってみない?」って言ったのはsuzukiiiiiiiiiiっていう友達だったんですけど、それもある程度は正しかったっていうことですね。山本さんと冬木さんの「バーズ、やってみようぜ」みたいなのとそんなに変わらない気はしますね。この人だから面白いっていうメンバーが先にあって、企画は後乗せっていう。

F でも、バーズに関しては本当に去年は誰も動かなかったです(笑)。でも今年また動き出した感じで。

N お金が絡んでない弊害ですよね。全員がそれで食ってるんだったら、そんなことは起こらないでしょうけど。

F 僕個人に関しては自分の制作とは離れているんで、別のマスにベットしている感じです。全然違うところにコインを置く感じでやってますね。

N 僕がCULTIVATEをやってた感覚も近いかもしれないですね。

F ヌケメさんが逆に断った仕事ってありますか?オファーとか。

N 展覧会とかで、逆にこっちがお金を払わなきゃいけないっていうものは断りましたね。

F そういうもの以外での、やったことないものは基本的に受けるんですか?

N DJはできる気がしないんで断りました。もうちょっと正確にいうと、いいものができる気がしないから、です。自分がやる意味というか、そのジャンルの中で少し面白いことができる気がするときはやるんですけど。DJはちょっとそう思えなくて、断りましたね。「あ、これだ」っていう方法論が見つかればやるかもしれないですけど。

Y 自分らしい。

N そうです。結局、方法論なんで。技術で勝負するつもりは全然ないんで。一貫してそれはそうですね。

F ヌケメさんがそう考えてるんだろうなっていうのは、お話を聞いててなんとなく結びついてきたところでした。技術の研鑽でたどり着くものとか、そこが前景化してくることには興味はないんだろうなっていうのは、ここまで追いかけていてわかります。

N グリッチ刺繍はグリッチ刺繍で研鑽してるところはありますけど、手刺繍の上手い刺繍作家、みたいな方向の研鑽とは違う。バンドに関しても、「いい音を鳴らしたい」っていう方向性では研鑽してますけど、上手に楽器が弾けるっていう方向の研鑽ではないし。いわゆる「上手い」みたいなものとは離れる方向性ですね。

F メタルの早弾きとかじゃない方向性ですね。

N じゃないやつですね。どっちかというと、アイデアをクリアに伝えるっていう方向で研鑽しています。技術は最低限必要な分だけでよくて。

F 話聞いててそうなんだろうなっていうのはなんとなくわかってきました。

N そうですね。だからこう、継承できないタイプなんですよね。継承しづらいというか。

F アイデアを軸として何かつくったりしてる人って大体そうですよね。

Y でも、ヌケメさんのお話もアイデアの部分は多いんですけど、ヌケメ帽とグリッチの作品に関しては、始められてからの期間も長くなってるぶん、そこにはちゃんとした技術みたいな話は付いてきてるのかなっていうのは思いました。そういう継承みたいなのは生まれて来るのかなっていうのとはちょっと思ったりしたんですけどね。

N シンプルに刺繍データのつくり方は上手くなったと思います。このあいだのLEE SAYAでの個展を、お世話になってる刺繍屋さんが見にきてくれた時に、「刺繍上手くなりましたね」って言ってもらえて。刺繍屋の目から見てそう見えたってことは、刺繍として綺麗なものができてるってことで、嬉しかったですね。

Y ヌケメさんや冬木くんの話を聞くと、作家ていう本筋があって、バーズは違うところへのベットっていう話があって。僕自身は逆になってるなと思いました。バーズでやっていることが、理念があってやりたいことの本筋、人生の中での本筋になって。稼ぐことが違うベットっていうか。やっぱりそれは単純な生業としてだったり、バーズとして活動していけるものにしたいから、お金も稼ぎたいみたいな方向になってるなって。聞きながら思いました。

F バーズが本筋ね。

Y めちゃくちゃなってる。周りにいる人のおかげで、考えないといけないことがだいぶ一気に見えたって感じかなあ。それをやるつもりで稼ぐ側の仕事やってるというか。そっちもやることはいっぱいあるんだけど。

7.

Y 本当に活動が色々ですね。さっき伺った事務所兼自宅をみんなで作っているとかも、既におかしな話になってますもんね。

N そうですね。あれが一番新しいプロジェクトです。

Y ですよね。作品でもあるし、本当にジャンルが毎回違う。

N 基本的には「やったことないことをやってみたい」っていう欲求が強いんで。もう辞めちゃったんですけど、バーテンやってみたりとか。

Y それはどのくらいやってたんですか?

N 3年ぐらいやってたのかな?あいだにコロナとかも挟んでるんで、実質2年ぐらいですね。新宿のゴールデン街でやってました。シェイカーを振るようなバーテンじゃなくて、割り物作るくらいですけど。一日店長として月に二回、一人でお店を回してました。

Y みんなで借りてお店をやってる人もいますよね。

N ありますね。小さいバーとかも、こんなご時世じゃなかったら普通にやっていけるでしょうし。

Y ヌケメさんの知っている方とか、友達とかが来て、普通に飲んで喋って。

N そんな感じでした。取っ払いのバイトみたいな感覚でやってましたね。気分転換にもなったし。それに、ツイッターとかで僕のことは知っているけど、会ったことない人っているじゃないですか。そういう人が会いに来れる場所だったんですよ。例えば、冬木さんがバーをやってるって言ったら、僕が冬木さんを一方的に知ってて会ったことなくても、「初めまして」って行けるじゃないですか。そういう出会いの場としてよかったですね。

Y インタビュー前に少しお話したことで、アートを起点に活動されている人や、アートにカテゴライズされずにやってる人たちもいますが、みなさんどうやって生きてるのだろう?という疑問が、僕はめっちゃあります。そんな話を聞ける場や集まれる場について、以前からバーズのみんなとも話していました。そういう場のあり方ともすごい近い気がするんですよね。

F バーズは教育しないんですよね。これが良いものであるっていうのとか、先行して誰かが持ってる思考を追従するっていうのではない状態、状況をどれだけキープできるか、みたいなことを実践したいんです。その中で一緒にいることや集まることで場を作っていって、良いものを生み出せるかっていうのを考えていて。だから、いま場を持とうっていう話をしてるんですけど、期間としてあんまり長くはできないんだろうなっていう話もしていて。それは多分、波に乗っちゃうと価値がだんだんバレてくるというか。そこに行ったら面白いことあるとか、何か利益になるってことがある程度以上の人数にバレちゃうと、意味がなくなってしまうところがあると思うんです。

N TAZ(タズ)※42みたいな感じですか?ハキム・ベイって人が提唱してる概念なんですけど。「一時的自立性ゾーン」という意味です。まだ海賊がいた時代に、敵同士であっても喧嘩しちゃダメっていう中立地帯みたいな島を作って、そこで貨物を積んだりとか、休んだりとかできるようなゾーンにしてたらしいんですね。で、それは何月から何月はこの島だけど、その期間をすぎたら全部取っ払って、次の月からまた別の島ってポンポン変えて、あくまで一時的な場所としてそういう休戦協定を結ばれたエリアっていうのを作ってたらしいんです。で、どうして一時的にしか作らないかっていうと、定着させてしまうと権力が発生するし、権力は必ず腐敗するから。権力が発生しないように、毎回新しく作り直してたっていう話があるんですね。例えば、この思想を引き継いでるものとして有名なのとしては、バーニングマン※43とかもそうですね。一時的にどーんって作るけど、その期間を過ぎたら全部更地にして、また次の年に新しくやるっていう。

F インディアンのポトラッチとか※44。

N あー放蕩ですね、そうそう。放蕩と消尽。日本の祭りとかもそうですね、放蕩ですよ。

F たしかに一旦、財として残してしまうとそこでヒエラルキーが発生してしまうことと近いですね。ただ、それこそお祭りって仕来りをわかってるおっちゃんが偉そうになるじゃないですか。そういうのは絶対したくないし、反資本主義ではあると思ってます。

N 資本が根付きようがないですもんね、そもそもテンポラリーなんだから。

F そうです。だから5、6年ぐらいやってきっぱり辞めるのもひとつはありかなあと思ってます。ただこっちのインタビューの方は続けていきたいですね。

Y こういう3人ぐらいの少人数で喋るっていうのが、ちゃんと話を聞けてが結局いいんですよね。その人のホームに行って話を聞くって、やっぱりちゃんと聞けるから。

F でも、そのタズの話おもしろいですね。

N タズはおもしろいですよ。

F なんか、あれを思い出しました。「負債論※45」を書いてるデビッド・グレーバーっていう人の本で、「民主主義の非西洋起源」※46って本があるんですけど。民主主義って昔からあるけど、みんなで決めたことを守らせるために警察権力とか、そういう権力装置を設置してるのって本当の民主主義じゃないっていう話をしていて。じゃあ民主主義っていつ始まったの?ってなったら、コロンブスとかが新大陸を発見しに行った時代、まさにさっきの海賊の時代と同じときに、船の中で船長も研究者も労働力として乗ってる囚人たちも、この船がどうなるかわからないから全員で決めるみたいな状態になっていて、それが初めて民主主義が発生した状態だっていう話があって。すごくタズと近いと思いました、状況自体の方がフラットにさせてるというか。

N 直接民主制ってやつですね。学校のクラスで文化祭で「何やる?」っていうのも直接民主制だと思いますけど、ある程度の規模を超えると間接民主制にせざるを得ない。代表を選んで、代表同士で会って話しといてくれっていう。

Y 全員の話を一気に聞けないし、まとめれないですもんね。

F ヌケメさんは学校のクラスの中ではどんな子供でした?

N 端っこの方にいましたよ。小学校の頃は漫画とか書いてました。あと、中学の頃は囲碁をやってました。

F 囲碁?それは部活とかですか?

N いや、たった一人でやってました。家族も含めて、周りで囲碁できる人が誰もいなくて。一人でやってたんですけど、県代表で全国大会とかも出たりしてました。中高とやっていて、学校代表として大会に出場するために、便宜上は部活ってことになってました。

F 全国大会行くぐらいだったら、かなり強いですよね。

N 当時、県内で大学生までだったら圧倒的に僕が一番強かったと思います。

Y 囲碁クラブとか、教室は行ってたんですか?

N 途中からはプロの先生に習ってました。ヒカルの碁※47を見て始めたんですけど、本気でやってましたね。

F 意外とそういう理由なんですね(笑)。

N そんな理由で(笑)。本当にプロを目指していた時期はありました。中学時代はプロを目指していたんですけど、高校はもう惰性でやってました。大会に出れば東京に遊びに行けるっていう理由で。

F 将棋でいう奨励会的なもの※48はあるんですか?何歳までにプロにならないといけないみたいな。

N 囲碁にもあります。将棋でいう奨励会は日本棋院※49ですね。囲碁の場合は「院生」っていうのがセミプロの期間があるんですけど、セミプロは18歳までで、18歳を超えたら強制的に退会させられます。プロ試験自体を受けられるのは23歳未満までですね。一度サラリーマンをやってからプロになる人もごく稀にいます。

Y それを聞くと大変な世界ですね。その年齢を過ぎたら一生なれないってことですもんね。

N なれないです。

F 高校生の時は圧倒的に強かったんですよね?

N 岡山県内で、ですけどね。僕が六段で、その次に強い人が四段とかだったんで。囲碁は今でもしてますよ。中国人相手に携帯のアプリでネット碁を打ったりしてます。

Y その時の戦法っていうのも、ちょっと普通の方法を取らないっていうこととかをやってたりしたんですか?

N 比較的オーソドックスだったと思います。ヘンテコなことも色々試しましたけど、うまくいかなかったですね。囲碁ははっきり勝ちと負けが分かれるんで。美術とかデザインとかと全く違うじゃないですか。

Y そうですね。

N 言われてみれば、囲碁はオーソドックスなスタイルでしたね。そうせざるを得ないですし、サイエンスですからね。サイエンスというか、マスというか、計算で結果が出るようなものなので。トリッキーもクソもなくて、ひたすら場面ごとの正解と不正解があるだけなんですよ。

F どんな能力で強さが変わってくるんですか?記憶力と…

N ええと、結局は発想だと思ってます。発想がつまらない人は弱いし、強い人は、やっぱ発想がイカれてますね。

F 単純に、将棋とかチェスよりも打てる手自体の数がめちゃくちゃありますよね。

N 盤面が広いんで。将棋は9×9マスですけど、囲碁は19×19なんで膨大にあります。

F じゃあ計算とか論理とか色んなことがありつつも、発想が。

N 結局は発想だと思います。

F 狭い範囲での陣地の取り合いだったら、定石とか研究とかもあるけど、結局盤面がデカすぎるからってことですよね。

N もうカオス理論みたいな感じですね。だから、部分的には定石が正しくても、全体から見ると間違ってるみたいなことが無限にあるんです。

Y あー、でもその捉え方はなんだかんだ繋がってる気はするかもしれない。

F どういうこと?

Y いまヌケメさんがやっていることも、ファッションっていう大きい枠や、もっと言ったら社会っていう更に大きい枠もあるなかで、ファッションならシーズンに合わせた販売方法や受注を取って販売する方法とか、その中でも選択肢はいろいろあって、ヌケメさんはここを攻めるって決める。でもその選択の部分は局所的で、結局全体も見ないといけない。なんというか、すごい色んな目線から一箇所を見ようとしている。だから今の囲碁の話も、結局小さな場所取りから最終的には全体を把握しないといけないし、戦法や手順もいっぱいあるからで、やることがめっちゃ発生してる。

F 山本くんの言うように、やり方というか、アプローチ自体に興味があるっていうのは少しわかる気はする。正当なアプローチとか、そのメディアにおける定石の技法とかがあって、何らかの媒体を通して、それがお客さんなのか鑑賞者かわからないけど、最終的に流通していく。そこに至るまでの手筋や、そういうひとつひとつの要素ややり方を考慮に入れて、検討されてる感じはするよね、確かに。

Y うん。だから、やってることはぐちゃぐちゃな気がするのに、筋は通ってる感じがするっていうか。なんかこう、新しい食べ物を出す人いるじゃないですか。例えばチョコレートに胡椒とか唐辛子入れて出されても、ちゃんと美味しくて味の質が高い感じがするというか。なんでもかんでもやっちゃうのに、意外とちゃんと毎回美味いことをしているというか、わかりずらいのに筋があるっていう。

N なんかでも、ギャグセンみたいな感覚もありますけどね。ユーモアというか。髪型は鳥肌実なんですよみたいな(笑)。聞いた瞬間に「なるほど!」ってなる感覚ってあるじゃないですか。囲碁をやってたっていうのも明らかに意外だし、beautiful peopleで働いていたのも意外だし。意外だろうなっていうのを分かった上でやってるんですよね。一言で笑ってもらえそうな何かみたいなことを。こんな感じだけど全身タトゥーなんですよとか。

Y そうなんだろうなあ…

N 恥ずかしいからちょっと外しちゃうっていうのが自分にあるんでしょうね。外れてるけど悪くないでしょ?っていう感じ。

F 今日ヌケメさんとお会いするのが3、4回目だと思いますけど、見せないところがありますよね。いつも常に余裕があるというか。

N 飄々としてたいとは思ってますね。

Y うん。これまでの大変な部分の話を聞くまでは全然そんなことないと思ってたもんね。

N だから、今は瞬間的に作品が売れてるからいいですけど、基本そこまでお金はないですよ。

F それも思っていたのと全然違いましたね。

N 同世代でも、稼いでる友達は年収1000万とか超えてきてるし。

F ファッション関係でですか?

N や、職種は色々です。まあバリバリ働いてますよね。

Y でも聞いてたら、東京はだいたいみんなそうですよね。

N うわ、そんなに稼いでるんだってなりますよね。なんで奢ってくれへんねやろ、コイツってなりますもん。

Y (笑)。

(2022年1月30日)

○注釈

※1 ROCKIN’ON JAPAN:ロッキング・オン社が発行する邦楽ロック・ポップス専門の音楽誌。1986年創刊。 
https://rockinon.com/

※2 音楽と人:株式会社 音楽と人から発刊されている日本の月刊音楽雑誌。1993年創刊。
http://ongakutohito.jp/ongakutohito/

※3 大岩雄典(おおいわ ゆうすけ):アーティスト。1993年生まれ。東京都を拠点に活動。2019年東京藝術大学大学院美術研究科修了。フィクションと修辞学を主題に制作。『美術手帖』『ユリイカ』『早稲田文学』などに批評を執筆。

※4 宇川直宏(うかわ なおひろ):グラフィックデザイナー、映像作家、ミュージック・ビデオディレクター、VJ、文筆家、司会業、番組プロデューサー、レーベルオーナー、パーティーオーガナイザー、キュレーター、ファッションブランドディレクター、サウンド・システム構築、クラブオーナー、ライヴストリーミングスタジオ/チャンネルオーナー、大学教授、日本自然災害学会正会員、現代美術家といった肩書きを持つ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%B7%9D%E7%9B%B4%E5%AE%8F

※5 AIR SCG2:BnA Alter Museumにて開催されたレジデンスおよび展覧会。ヌケメ、冬木が共に出展した。
https://bnaaltermuseum.com/exhibition/air2-scg/

※6 エスモード ジャポン:東京都渋谷区恵比寿にある服飾学校。パリに創設された世界最古のファッション専門教育機関の日本校。現在、世界13カ国に20校を開設している。
 Web site :  https://www.esmodjapon.co.jp/

※7 セミトランスペアレント・デザイン:2003年から活動する,デザイナー/デヴァイス・ディヴェロッパー/プログラマーからなるデザイン・チーム。インターネット黎明期よりネットとリアルを連動させる独自のデザイン手法で多くのウェブ広告を制作し,国内外の広告賞を多数受賞している。国内外の展覧会、フェスティヴァルで作品を発表し、表現領域を広げている。
http://www.semitransparentdesign.com/

※8 田中 良治 (たなか りょうじ):Webデザイナー。1975年生まれ、三重県出身。同志社大学工学部・岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー卒業。2003年、セミトランスペアレント・デザインを設立。黎明期よりネットとリアルを連動させる独自のデザイン手法を確立し、多くのWeb広告を制作。国内外の広告賞を多数受賞している。

※9 世界制作のプロトタイプ展:http://gigmenta.com/2015/prototypes-of-worldmaking.html

※10  higure17-15cas:東京都荒川区西日暮里にあるコンテンポラリーアートスタジオ。
http://higure1715cas.com/#top

※11 辺口芳典(へんぐち よしのり):詩人・写真家。1973年。
http://yoshinorihenguchi.com/

※12 5LACK:日本のラッパー、トラックメイカーである。ヒップホップユニットPSG、SICK TEAMのメンバーとしても活動。2012年頃までS.L.A.C.K.名義で活動していた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/5lack

※13 山塚アイ:音楽家、ラッパー。兵庫県神戸市出身。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%A1%9A%E3%82%A2%E3%82%A4

※14 文化庁メディア芸術祭:文化庁メディア芸術祭実行委員会が主催しているアートとエンターテインメントの祭典。
https://j-mediaarts.jp/

※15 アルスエレクトロニカ:オーストリアのリンツで開催される芸術・先端技術・文化の祭典で、メディアアートに関する世界的なイベント。
https://ja.wikipedia.org/wiki/アルス・エレクトロニカ

※16 インターネットヤミ市:“インターネットっぽいもの”を現実世界で自由に売り買いすることができる、というコンセプトのもと実施されたフリーマーケット的イベント。
http://yami-ichi.biz/

※17 IDPW(アイパス):アーティスト集団。「インターネットが降臨する場を創出する」というテーマのもと活動を行っている。
http://idpw.org/

※18 Fabcafe:世界中に拠点を持つクリエイティブコミュニティスペース。 人が集うカフェに、3Dプリンターやレーザーカッター等のデジタルものづくりマシンを設置している。
https://fabcafe.com/jp/

※19 LEE SAYA:東京 目黒にあるアートギャラリー。
https://leesaya.jp/

※20 グラファーズ・ロック:アートディクター/グラフィックデザイナーの岩屋民穂氏によるデザインプロジェクト。 インディーズからメジャーレーベルまで様々なCDジャケットやアパレルブランドへのグラフィック提供など、企業とのコラボレーションを通じ、幅広い分野でアートワークを展開し続けている。http://graphersrock.com/

※21 beautiful people:2006年にデザイナー熊切秀典を筆頭に立ち上がった日本のファッションブランド。https://beautiful-people.jp/

※22 ヴィレッジバンガード:愛知県名古屋市名東区に本社を置く株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション グループによって展開されている書店。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴィレッジヴァンガード (書籍・雑貨店)

※23 しまむら:株式会社しまむら。郊外を中心に衣料品チェーンストアを全国展開する埼玉県さいたま市の企業。
https://www.shimamura.gr.jp/company/business/business.html

※24 ジャスコ:イオングループが展開していた総合スーパーブランド、またはイオン株式会社の旧商号。総合スーパーのイオンの前身でもある。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%82%B3

※25 ドーバーストリートマーケット:川久保玲が展開する、若い世代や川久保玲に共感するデザイナーズブランドをキュレーションしたコム・デ・ギャルソン以外の商品も取り扱うセレクトショップ。https://shop-jp.doverstreetmarket.com/

※26 風の谷のナウシカ:宮崎駿による日本の漫画作品。アニメーション監督・演出家でもある宮崎が、1982年に徳間書店のアニメ情報誌『アニメージュ』誌上にて発表したSF・ファンタジー作品。1984年には宮崎自身の監督による劇場版アニメ『風の谷のナウシカ』が公開された。

※27 岡崎京子:日本の漫画家。1980年代から1990年代にかけて、多くの優れた作品を発表、時代を代表する漫画家として知られた。

※28 CULTIVATE:http://www.cltvt.org/

※29 永江 大(ながえ だい):編集者。株式会社MUESUM所属。

※30 坂脇 慶(さかわき けい):アートディレクター/デザイナー。
https://keisakawaki.com/

※31 近藤さくら:画家。1984年秋田県生まれ。多摩美術大学造形表現学部卒業。生活圏内の見慣れた場景を記録・収集し、 それらをカットアップすることで作品制作を行う。作品の形態は、ドローイングを中心に、映像、立体、インスタレーションなど多岐に渡る。
https://sakurakondo.com/

※32 横田大輔:1983年埼玉県生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。記憶と現在、イメージと現実の関係性をテーマに据え、実験的な方法を取り入れながら作品を制作している。
第45回「木村伊兵衛写真賞」https://imaonline.jp/news/others/20200319/、CULTIVATE「CULTIVATE#9

※33 KAWS:アメリカ合衆国のアーティスト。本名はブライアン・ドネリー。90年代初めにグラフィティアーティストとして頭角を現し、×印の目のキャラクターを用いた作品で広く知られている。

※34 Toshishi / トシシ:ヌケメさんがX JAPANのtoshiに扮するパフォーマンス。
https://www.instagram.com/toshishix/?hl=ja

※35 山川冬樹:1973年ロンドン生まれ。自らの声や身体をプラットフォームに、音楽、美術、舞台芸術の境界線を横断するパフォーマンスを展開。南シベリアの伝統歌唱「ホーメイ」の名手としても知られている。

※36 TALION GALLERY(タリオン ギャラリー):アートギャラリー。2011年東京都・谷中に開廊、2014年に目白に移転。
https://taliongallery.com/

※37 ドローン:https://ja.wikipedia.org/wiki/ドローン (音楽)

※38 GIカット:トップから前髪までの髪を残し、サイドをバリカンで短く刈り上げた、角丸刈りをベースにしたヘアスタイル 。ヘルメットをかぶるのに都合が良いことから、兵士の間では主流となっていた。

※39 鳥肌実:お笑い芸人、俳優、演説家。
https://www.torihada.jp/

※40 RAF SIMONS(ラフ・シモンズ):ベルギー出身のファッションデザイナー、および彼の名を冠したブランド。1995年にRAF SIMONS(ラフ・シモンズ)を創立。また自身のブランドにとどまらず、2005年にはJIL SANDER(ジル・サンダー)のクリエイティブ・ディレクター、2012年にChristian Dior(クリスチャン・ディオール)のアーティスティック・ディレクター、2016年にCalvin Klein(カルバン・クライン)のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任している。

※41 HIROMIX(ヒロミックス):日本の写真家、文筆家、DJ、モデル。東京都立鷺宮高等学校在学中に女子高校生写真家として注目され、90年代の写真ブームを牽引。

※42 T.A.Z.(タズ): ハキム・ベイの著書、一時的自律ゾーン(TAZ)のタイトルおよびその概念。ハキム・ベイは執筆名であり、本名はピーター・ランボーン・ウィルソン(Peter Lamborn Wilson、1945年- )。アメリカ合衆国のアナキズムの著述家、評論家、詩人。

※43 Burning Man(バーニング マン):アメリカ合衆国で開催される大規模イベント。アメリカ北西部の荒野で年に一度、約一週間に渡って開催される。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%83%B3

※44 Potlatch(ポトラッチ):北アメリカ太平洋岸のハイダ、クワキウトゥルなどのアメリカインディアンの社会にみられる儀礼的な贈答競争。 客を招き宴会を開いて財物を消費し、招かれた相手も名誉にかけて別の機会にそれ以上の消費をする。「potlatch」は消費するの意。

※45 負債論  貨幣と暴力の5000年:デヴィッド・グレーバーによる著書。負債(=ローン)という観点から人文知の総結を通して、貨幣と暴力の歴史を分析を試みている。デヴィッド・グレーバー(David Grabber)1961年ニューヨーク生まれ。2020年没。文化人類学者・アクティヴィスト。ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス大学人類学教授。

※46 民主主義の非西洋起源について-「あいだ」の空間の民主主義:デヴィッド・グレーバー著。「民主主義はアテネで発明されたのではない」という価値転覆的な認識をもとに、民主主義の再興を試みている。http://www.ibunsha.co.jp/new-titles/978-4753103577/

※47 ヒカルの碁:ほったゆみ(原作)、小畑健(漫画)による囲碁を題材にした少年漫画。週刊少年ジャンプにて、1999年2・3合併号から2003年33号にかけて連載。

※48 新進棋士奨励会(しんしんきししょうれいかい):日本将棋連盟によるプロ棋士養成機関。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E9%80%B2%E6%A3%8B%E5%A3%AB%E5%A5%A8%E5%8A%B1%E4%BC%9A

※49 日本棋院(にほんきいん):囲碁の棋士を統括し、棋戦を行っている公益財団法人。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%A3%8B%E9%99%A2