出地 瑠以 個展 “ 288 / 野良猫に見られた ”


前期 2024年2月9日(金)ー 2月18日(日)
後期     2月23日(金・祝)ー 3月3日(日)
※ 前期、後期で展示内容が異なります

開廊日:金曜 - 日曜 及び 祝日 13:00 ~19:00
会 場:NEST(ネスト)google map
〒543-0045 大阪市天王寺区寺田町2丁目1-16 三隅ビル 2F
JR天王寺駅北口から徒歩8分、JR寺田町駅北口から徒歩3分






最近天気の良い日に、友人と焚き火をした 『光がきれいだ』と言っていた言葉が印象的だった

instagramのアプリを携帯から消した

これから先の社会がどうなるのか、よく考える

携帯をジップロックに入れ、放置するとそれの存在感が薄くなることに気づいた

体内時計の精度が最近少し悪い

写真の牢屋から出ることができたら、世界はどんな風に見えるのだろうか

ヨーグレットとminoとcoffee beatが大好き

多くの物が只の物質の塊にしか見えなくなってきている

求めてもいないのに、瞑想の存在が勝手に私に近づいてくる

久々にロウソクを焚いて、音楽を聞きながらお風呂に入った

友人が食べすぎて胃腸炎になった 彼女らしくて笑ってしまった

家に飾ってある花がきれいだ

私は私でしかいられないと気づいた








この度、birdsの拠点であるNEST(ネスト)にて、出地 瑠以(いずち るい)による個展を開催致します。本展は前期と後期に分かれており、前期のタイトルを “288” 、後期を “野良猫に見られた ” として開かれます。

福井県で生まれ育った出地は、これまで写真家としての作品制作と、広告等の商業写真の両輪を活動の軸としてきました。その諸活動の中で、風景や場所、季節の空気感といった繊細な被写体と、それらが実際にシャッターを通して出来上がった写真に現れるプロセスに、出地の意識は向けられています。アメリカ・オクラホマ州での大学生活や、ハワイでのカメラマン勤務、また現在でも東京に拠点を持つなど、これまでに複数の場所を移動しながら経験を重ねてきた出地は、「福井という土地にいると、旧暦と関係して季節が動いているのが感じられる」と語ります。それは、季節やその瞬間の空気、あるいは人々の一瞬の表情といった微細な変化を撮影する写真家の視点を通して、それぞれの場所、ひいてはそこに住む人々を理解しようとする態度の表れであり、ある対象とその外環境の関係性を捉え直すアプローチとして、写真表現が用いられています。

また、そのプロセスを注視する視点は、写真というものの裏側に存在する“演出”に対する意識にも向けられています。周知のように、写真というメディアはその最初期から、演出や効果という表現の形容とともに歩んできました。実物よりも彩度やコントラストなどに手を加えることによって、視覚的効果を強調/縮減させたり、フォーカスやトリミングによって見る側の視線に関係させるなど、複雑な操作が存在しています。また、一見自然に見える写真ほど、その操作は巧妙であり、特に今日の私たちにとって写真の加工は、イメージ自体の生成のプロセスにおいて至極当たり前のものになりつつあります。

今回の2つの展示は、その写真における“演出”というものを双方向から思考し、相対化する試みであるともいえるでしょう。出地の写真作品を見た人々がそれぞれの視点で、イメージとその手前にある現実の世界の関係性について、改めて考えるきっかけとなることを期待しております。





Rui Izuchi | 出地 瑠以

1983年福井生まれ。海外での大学生活をきっかけに、季節の移り変わりや個々のパーソナリティに興味を持つ。
主な個展に「288」(flat, 福井, 2023)、「出地 瑠以写真展」(福井ものづくりキャンパス, 福井, 2021)、「ヴェール」(flat, 福井, 2016)、グループ展に「inter-Action」(アメリカ橋ギャラリー,東京, 2023)

http://www.cocoon-photo.com
instagram @ruiizuchi

左 《ひさかたの》2020  右《ID》2016