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コルト45について
アメリカのコルト社が製造した拳銃「コルト45」はギャング映画やヤクザ映画で日本でもお馴染みであるが、制式名称はM1911という軍用ピストルで、1911年に誕生した。これはアメリカ軍でフィリピンとの戦争で、ジャングルの中でのフィリピン人イスラー教徒との戦闘のために製造された。フィリピン南部にはイスラーム教徒が多く、彼らはスペイン統治時代にモロと言われキリスト教支配に激しく抵抗しており、特にミンダナオ島の南西に繋がるスルー諸島には16世紀の初めにスールー王国というイスラーム教国が生まれ、スペインに抵抗しながら対中国貿易を行っていた(中国史料には蘇禄と記述されている)。スペイン植民地当局とのモロ戦争を戦ってきた彼らは、アメリカに対しても激しく抵抗した。アメリカ軍は銃身の長い38口径回転式拳銃(西部劇で見るもの)を使っていたが、ジャングルで蛮刀を振るうモロの攻撃に悩まされたため、より威力が高く小型の拳銃としてコルト45が開発された。武器の投入などによってアメリカはスールー王国の抵抗を抑え、1915年に植民地支配下に組み込んだ。コルト45は、その後アメリカ軍の制式拳銃として第一次、第二次世界大戦からベトナム戦争まで使用され続けた。
戦後は、払い下げの要領で日本警察でも使用されていた。1972年のあさま山荘事件の折にも長野県警がコルト45を携帯している映像が残されている。